◆ネックは電力難だったが
中国では、10数年前から街中の監視カメラが急増したことがよく知られている。一方、中国以上に住民監視を徹底してきた北朝鮮では、金日成、金正日の銅像や国境沿線などの重点警備地点には以前から設置されていたが、街中ではさほど増設が進まなかった。
機器を中国から輸入する資金の問題もあっただろうが、ネックになっていたのは電力難だと考えられる。首都の平壌はともかく、地方都市では家庭に電気が供給されるのは一日に3~5時間程度だ。発電用ダムが氷に覆われる冬季は、電力事情はさらに悪化する(銅像については、「銅像線」と呼ばれる配電網があって24時間電気が供給されている)。
◆経済悪化による秩序悪化に危機感か
「安全局には監視カメラを専門に管理する部署が新設されたそうだ。企業でも独自にどんどん設置している。最近あまりに数が増えたので、いつも誰かに見られているような気持ちになる」
すべての監視カメラが常時稼働しているとは考えにくいが、当局が設置を急がせていることだけは確かだろう。その背景には、2020年のパンデミック以降の経済悪化によって、各地で犯罪や秩序違反事案が増加したことがあると見られる。当局はこの数年、犯罪を絶対に容赦しない旨の強い警告を住民に対して度々出している。恵山市では、昨年の8月からのわずか4カ月間に、計3度、男女11名の公開処刑が執行されている。
※アジアプレスでは中国の携帯電話を北朝鮮に搬入して連絡を取り合っている。
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