――具体例を教えてほしい。
例えば会寧(フェリョン)市にある東洋会社、靴工場、クムウンサン会社などの「基地」が解散させられた。そこで「源泉」を管理する指導員や働いていた労働者らは、一般工場に配置された。
注
クムウンサン会社は、軍需動員総局傘下の貿易会社とされ、平壌に本社を置く。原油の輸入や燃油の国内販売、食品業を手掛けてきたという。東洋会社は軍系で、護衛司令部傘下の会社だという情報があるが詳細は不明。
――これらの「基地」ではどんなビジネスをしていたのか?
もともとは中国から入って来る物資を他地域に送ったり、中国への輸出用の薬草や山菜などの収買(買い取り)をしたりしていたが、コロナの時に中断になった。それで「基地」の従業員らは、金を稼ぐために食堂経営など様々な商売に進出した。「基地」は商売をする許可証を持っているからできた。
◆国内の流通業務は反社会主義の根源だと批判
――それにしても貿易会社には厳しい措置だ。
特に問題になっているのは、食糧など国内の製品や資源まで流通させて金儲けしていた点だ。反社会主義の根源なのだと。会社の調査も厳格にしている。「基地」の従業員は出勤して何をしたのか、どんな商売をしたのかも全て調べている。不正がたくさん摘発されたそうだ。
――国内での流通業務が叩かれているようだが。
貿易会社は固定販売権がないのに個人や商売人を対象に物資を売っていた。今、個人(民間の意)への流通は完全に禁止になった。過去には、お金になればあれこれ勝手にやっていたけれど、今では国家が決めて承認した業務だけをしている。貿易会社が流通していい対象は国営の流通網だけになった。
――「基地」がなくなったら輸出業務に支障は出ないか?
資金に余裕のある貿易会社の「基地」もたくさん廃止されてしまった。いったい国で(「源泉」の確保を)うまくやっていけるのだろうかと心配する人が多い。(続く)
※アジアプレスでは中国の携帯電話を北朝鮮に搬入して連絡を取り合っている。 続く 2>>
<北朝鮮内部>金政権が貿易会社を大リストラ(2) 「個人の所有物のように変質」と腐敗批判 貿易会社と市場の遮断を徹底