◆職場では若者つるし上げる「思想闘争」会議

当局は、企業に対しても「若者対策」を求めている。青年層による秩序違反に対する統制と思想教養事業をどうするのか、計画案を当局に提出させるよう年初に指示があったという。「若者の対策」の具体例が、企業内部でしばしば行われるようになった「思想闘争」会議でだ。

「2月に恵山市内のある工場で、全従業員を集めた『思想闘争』会議があった。製品の窃盗と迷信行為をしたとして若い女性4人が『批判舞台』に立たされた。そして14人が次々に登壇して4人の行動を批判した。その後討論も行われた」

恵山市の別の取材協力者はこう言う。

『思想闘争』会議はつるし上げのための場だ。前述の公開裁判といい、衆人環視の下で罰を下すことで恐怖と羞恥を与え、また見せしめにして、若者たちの行動を統制しようというのが政権の狙いだろう。

◆昨年12月には公開処刑の参観を強要

恵山市では昨年12月、穀物を強奪しようとして殺人を犯した20代の男性の公開処刑が執行された。この場には恵山市内の工場や企業から青年同盟員の従業員が大挙動員された。

若者たちは、刑場となった恵山飛行場までは職場から隊列を組んで歩かされ、裁判の開始から銃殺執行までを最前列で参観させられたと、現場に動員されていた協力者が伝えてきていた。 金正恩政権が特別に青年層を対象に統制を強化しているのは、それだけ若者の間で秩序違反や体制への不服従事案、犯罪が増えていることの裏返しであろう。

※労働党傘下の青年団体である「社会主義愛国青年同盟」。概ね30歳未満の労働者や学生が全員加入する。

※アジアプレスでは中国の携帯電話を北朝鮮に搬入して連絡を取り合っている。

 

 

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