◆虚偽記入罪で刑事告発される
三反園訓(みたぞのさとし)衆議院議員=(鹿児島2区)が、2022年に資金管理団体「みたぞのさとし後援会三訓会」(以下、三訓会)を迂回させて政治団体「みたぞのさとし後援会」(以下、「後援会」)に政治資金規正法(以下、規正法)で禁止されている150万円を遥かに超える650万円の寄付をしていたことがわかり、虚偽記入罪にあたるとして鹿児島地検に刑事告発された。(フリージャーナリスト・鈴木祐太)
◆自身の後援会に違法な迂回寄付のからくりとは
刑事告発したのは神戸学院大学の上脇博之教授。三反園訓議員ら関係者5人が対象だ。国会議員が1年間に自身の「後援会」にできる寄付の上限は150万円だ。にもかかわらず、三反園議員は2022年に11回に分けて650万円を「三反園後援会」に寄付していた。いったい、どんなからくりで違法な寄付をしたのか。
「三訓会」は三反園議員の資金管理団体だ。公職の候補者である三反園議員は1000万円まで寄付ができるので、まず三反園議員個人が「三訓会」に11回に分けて650万円を寄付。次に、やはり11回に分けて「三訓会」が「後援会」に650万円を寄付していた。政治団体間の寄付は年間5000万円までは合法であることを利用した典型的な迂回献金である。
こうした迂回献金は過去に違法との判決か出ている。2004年7月に発覚した日本歯科医師連盟の迂回献金事件の判決では、「違反を免れるため、他の政治団体を形式的に介在させることによって実質的な寄付者を偽るような行為を許すこと」は「法の趣旨に反することは明白」と断罪している。今回の三反園議員の件も、他の政治団体をかませて実質的な寄付者を偽っているといえよう。
◆なぜ迂回寄付する必要があったのか?
なぜ、三反園議員はこうまでして「後援会」に多額の寄付をする必要があったのだろうか?
三反園議員議員が最初に寄付をした「三訓会」は、「資金管理団体」かつ「国会議員関係団体」に該当し、政治団体の中で最も高い透明性が求められる区分だ。人件費以外は一万円以上の明細を政治資金収支報告書(以下、収支報告書)に記載するように義務付けられている。
一方、「後援会」は、「その他の政治団体」という透明性の一番低い区分に属している。現行法では、人件費だけでなく光熱費や備品、事務所費などの明細の記載義務もなく、それ以外の政治活動に関する支出も、5万円以上のみを収支報告書に記載するだけでよい。
◆懲りずにデタラメ繰り返す三反園議員
刑事告発した神戸学院大学の上脇博之教授は次のように憤る。
「今回の告発は鹿児島県在住の方から迂回献金がなされていたと連絡を受けたことがきっかけになりました。今回の刑事告発と同じ視点で報道された記事も出ていたにもかかわらず、返金せず収支報告書も訂正していませんでした。法令遵守する気がないと言わざるを得ません」
三反園議員は、2021年にも「三訓会」に上限を超えた1100万円の寄付をしていることを総務省から指摘され、その後、寄付ではなく借入金だったと収支報告書を訂正しており、上脇教授から刑事告発されている。その際、手持ちの金額以上の支出をするなど収支報告書はデラメだと指摘されていた。
それにも関わらず、2022年も上限を超えた寄付を行っていた。三反園議員が立候補した20年の鹿児島県知事選挙では、日当上限を遥かに超える多額の事務員報酬を支出していたことを指摘され、選挙運動収支報告書を訂正している。「デタラメのオンパレード」と言ってもいいのではないか。
三反園議員とカネの問題は過去に幾度も指弾、刑事告発されているが、また繰り返しているわけだ。まったく懲りない三反園議員に自浄作用は期待できない。
■ 鈴木祐太 (すずきゆうた)
1981年香川県で生まれ。岡山、大阪で育つ。大学在学中から貧困状態にある子どもたち、特に被差別部落や在日外国人の子どもたちへの支援に関わり、小学校講師、派遣社員などを経てジャーナリズム活動を始める。フロントラインプレス所属。
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