◆「結婚する女はアホ、子どもを産む女はドアホだ」

「今の世で結婚する女はアホ、子どもを産む女はドアホだ」と、3人の協力者たちは口を揃える。結婚と出産に対する北朝鮮女性の現在の考えを端的に示しているといえる。

未婚女性の出産と婚外子に対して否定的な考え方が強い北朝鮮では、正式な結婚をせずに出産するケースはごく稀だ。ゆえに、出生率低下の問題は、結婚するか否かと直結していると見ることができる。

「結婚する女はアホ」とみなすのはなぜか? 結婚することで、女性の負担や犠牲が耐えがたいほど増えるからだ。そのため結婚を遅くしたり結婚をしない選択をしたりする女性が増えている。

「最近は、恋愛をしても結婚に至るケースは少なくなりました。また、お金に余裕がある女性には、あえて独り身で暮らす人も多いです」(協力者A)。

「女性たちの間では、一人で食べていくのも大変なのに、結婚して一緒になった男まで食べさせるなんてできっこない、というのが今や常識」(協力者B)

女性は、市場活動を通じてお金を稼げるようになった。一方の男性はほとんど収入にならないのに、職場に出勤することを政府に強要されている。結婚すると、男性を扶養しなければならなくなるため、女性は結婚を避けるようになったのだ。

「以前は、女性は結婚した後に、『扶養家族』となって女性同盟(朝鮮社会主義女性同盟)に所属するのが普通だったが、最近は女同盟員の3分の1は一人暮らしの女性だ」とB氏は言う。既婚女性を組織する女性同盟に、徐々に未婚女性が増えているというわけだ。( 続く 2へ >>

※北朝鮮では職場で働いていない「主婦」は必ず女性同盟に所属しなければならない。
※アジアプレスは中国の携帯電話を北朝鮮に持ち込み、連絡を取り合っている。

北朝鮮地図 製作アジアプレス

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