◆ 国家が産めと言うから産むのはバカ…反旗を翻す女性たち

当局によるこうした恐怖を与える政策も、女性たちの考えを変えることはできず、むしろ反発を呼び起こしていると協力者たちは言う。

「(国家から)産めと言われたら産みますか? たとえ妊娠したとしても、産めますか?お金がかかってもできることなら中絶しようとします。バカじゃなければ」(協力者B)

「(女盟会議で出産奨励の通達があった後)自分が飢えているのに、子どもをどうやって産むのか、本人が産みたくないというのに、なぜ国がどうこうしろと言うのかなど、否定的な反応が多かった」(協力者C)

第5回母親大会で金正恩氏の演説に唱和する参加者たち。全国かの女性同盟幹部が平壌に派遣された。2023年12月、労働新聞から引用。

◆根絶できない非合法の堕胎手術

当局の処罰を避けるため、密かに中絶手術をしたり、危険な方法で堕胎を試みたりする事例も多いようだ。

「取り締まりがあまりにも厳しくなったので、病気の治療に行くと言って他の地域で手術して数日泊まって帰ってくるケースがあります。互いに口止めするので、誰かが通報しない限りバレることはめったにありません」(協力者A)

「最近は、針で胎児を殺す方法まで出てきました。国があまりに厳しく取り締まって捕まえるので、針で胎児を刺す施術をする人を探し回っていた女性を知っています」(協力者B)

※編集者注:針で胎児を刺して殺す施術だと思われる。想像しがたい極端な方法だ。

「いくら非合法の中絶を取り締まるとしても、産婦人科で働く女性たちは家で(不法に)中絶手術をしてお金をたくさん稼いでいます。妊娠しても産むわけにはいかないので、いくら取り締まっても子どもを堕胎するのです」 (協力者 A)

北朝鮮の女性たちが子どもを産まなくなったのは、当局の政策と家父長的な考えの男性の時代錯誤に対し、女性たちが静かに、そして強力に反旗を翻した結果だと見ることができる。独裁権力が八方手を尽くして子どもを産ませようとしても、それは果たせないだろう。(了)

※アジアプレスでは中国の携帯電話を北朝鮮に搬入して連絡を取り合っている。

 

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