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<ウクライナ現地報告>ウクライナ軍報道官インタビュー(1) 「強力な防空システム必要」「戦死遺族補償金未払いは取り組むべき課題」(写真7枚+地図)
◆侵攻3年め、ロシア軍の民間人攻撃続く
ウクライナ軍のウクライナ軍・オデーサ作戦戦略群管区のナタリア・フメニュク報道官のインタビューの第2回。ロシア軍による民間人攻撃や、ダム・原発破壊への懸念などについて聞いた。(オデーサ・玉本英子)
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■ ロシア側は「攻撃対象は軍事関連施設」と主張しています。実際には、ミサイルやドローンによって民間施設やインフラ、病院があいついで攻撃を受けています。これらは「誤爆」なのか、あるいは意図的に民間施設を標的にしているのでしょうか。意図的な攻撃ならば、その目的は何でしょうか?
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【フメニュク報道官】
どのような目的で民間施設への攻撃を続けているかについては、ロシア側に聞いたほうがいいでしょう。(軍事においては)誤爆が存在するのは否定しませんが、ではミサイルや砲弾だけでなく、カメラで制御するFPV自爆ドローン機が、70歳の高齢者が住む民家に命中したとき、それは「誤爆」と言えるでしょうか。人びとが人道支援を受けている場所に、ドロ-ンが爆弾を投下することは「誤爆」でしょうか。
昨日、オデーサの港湾インフラ施設が弾道ミサイルで攻撃されました。ロシア軍は、港の付近に住宅やガソリンスタンドなど、多くの民間施設があることを知りながら、攻撃は夕方の交通のピーク時、人びとが最も多く帰宅する時間帯に意図的に遂行されました。その結果、子どもを含む一般市民が犠牲となりました。それは「誤爆」なのか、それともテロか。答えは明らかです。
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◆ダム、原発破壊は世界的な被害もたらす
■ 最近、ザポリージャのドニプロ水力発電所が攻撃を受けました。ウクライナ軍の防空システムが十分に機能しなかったのでしょうか? 今後、もしダムが破壊される事態が起きた場合、下流域の住民や基幹インフラにどのような影響が及ぶ可能性があるのでしょうか?
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【フメニュク報道官】
まずもって、わが軍は最悪の事態が起きないよう願っていますが、その準備は怠ってはいません。世界的な悲劇を引き起こす可能性のあるテロ国家を相手にしていることを踏まえ、その行動を予測し、把握することが私たちに求められています。なぜわが軍がミサイルを迎撃で対処できなかったのか。それは近代的なミサイル防衛システムが不足しているからです。ゆえに支援を求めています。
原発については、病院や薬局もヨウ素剤を準備しています。どのような事態が発生しても対処できるようにするためには、冷静な判断力、非常用避難袋の準備、避難計画が必要であることを認識しています。そして、その対処計画は実施されています。
私たちは国際的なパートナーと協力し、もしダムや原発破壊が起きたら、その悲劇はウクライナやヨーロッパだけではなく、世界全体の問題となることを訴えかけています。我々がいまロシアを止めなければ、彼らが望む方向へとさらに突き進んでいくことになってしまいます。
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第2回 END
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