北海道9区選出の堀井学議員。本人のXより。

2019年以降の4年間に安倍派(清和政策研究会)の政治資金パーティ収入からキックバックを1714万円受け取っていたなどとして、北海道9区選出の自民党の堀井学衆院議員らが政治資金規正法(以下、規正法)の不記載罪等の疑いで、5月1日に東京地検に刑事告発された。堀井議員の政治団体は一連の裏金疑惑が噴出した後の今年の2月に政治資金報告書を訂正したが、日付や使途、支払先が不明としたものが多数あった。(フリージャーナリスト・鈴木祐太

◆デタラメすぎる報告書の訂正 「使途不明」とは何だ?

堀井議員を刑事告発したのは上脇博之神戸学院大学教授。告発状によると、堀井議員が代表を務める政治団体「ともに歩き学ぶ会」は、安倍派の政治資金パーティ収入から寄付金として18年に482万円、19年に628万円、20年に436万円、21年に650万円を受け取っていたにもかかわらず、政治資金収支報告書(以下、収支報告書)に記載していなかった。22年はキックバックの受け取りはなかった。なお18年度分は時効のため告発対象から外された。

堀井議員の「ともに歩き学ぶ会」は、一連の自民党派閥のキックバック問題で東京地検特捜部が動いていると報道された後の24年2月1日に、裏金の受け取りを「自白」するかのように収支報告書を訂正した。

たた収支報告書の公開は3年分しかないため、「ともに歩き学ぶ会」が裏金を受け取った20年、21年しか、その使途を確認できない。今年2月に修正された収支報告書を見ると、そのデタラメぶりには驚かされる。

20年の436万円、21年の650万円は、ともに「支出の目的」欄がなんと使途不明。さらに「年月日」は空欄、「支出を受けた者の氏名」は不明とされているのだ。「備考」欄には「日付不明」とも記載されている。裏金を受け取ったことは確認できるが、いつ、何に使ったのか、全く明らかに使用としていない。

雑誌「FLASH」(光文社)の取材に対し堀井学衆院議員は、「該当する秘書が、それぞれ退職をされて、次なる職場で次の人生を歩まれておりますので、その部分については差し控えさせていただきたいと思います」と回答している。裏金の使途について何の説明もしてないままだ。

今年2月に修正された堀井議員の「ともに歩き学ぶ会」の政治資金収支報告書。使途不明、支出先不明、日付も不明のデタラメ。

◆リレハンメル五輪銅メダリストから「裏金上位ランカー」へ

堀井学議員は、スピードスケートでリレハンメル五輪、長野五輪、ソルトレークシティ五輪の3大会に出場し、銅メダルを獲得したこともある。北海道道議会議員を経て2012年に衆院議員に初当選、岸田第二次改造内閣で内閣府副大臣に就任した。しかし一連の派閥のパーティ券裏金事件を受けて23年12月に辞任。自民党内部で1年間の役職停止処分を受けている。

堀井議員を刑事告発した上脇博之神戸学院大学教授は次のように解説する。
「堀井議員も他の安倍派議員と同じように秘書の責任にしています。しかし、安倍派の所属議員側がキックバックされた寄附金収入を一斉に収支報告書に記載しなかったのは、明らかに組織的ですから、議員が知らないはずはありませんし、秘書の独断で不記載にすることなど考えられません。堀井議員にはルールを遵守するスポーツマンシップがあったはずです。安倍派は平気で主権者国民を裏切り、議員に遵法精神を喪失させるほど腐敗した集団なんでしょう」

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