◆職員犠牲多数、攻撃避け行政機能分散

ウクライナでロシア軍のミサイル攻撃にさらされるのは、軍事施設だけではない。州や市役所の庁舎など行政機関の建物も標的のひとつとなっていて、職員の犠牲もあいつぐ。行政関連の庁舎には土のうが積まれ、別の場所に事務機能を分散して業務を続ける部署も少なくない。庁舎、公共施設は防空警報が鳴るとシェルター避難が法令で義務付けられていて、警報が長時間に及ぶと業務上の支障だけでなく心理的負担も増加する。(オデーサ/玉本英子

【動画】 北部ハルキウと南部ミコライウでの州庁舎へのミサイル攻撃。行政庁舎のほか、公共施設、住宅、飲食店、スーパーマーケットもミサイルや砲撃にさらされる。(2022年・2023年撮影:アジアプレス *資料映像:非常事態庁DSNS・ミコライウ州知事公表映像)

 

【ハルキウ】軍や警察だけでなく行政関連の建物も標的になっている。北部ハルキウ州庁舎は、侵攻まもない2022年3月1日、ミサイル攻撃を受け、職員ら29人が死亡。画面左の赤枠がミサイルでカリブルと報道。(2022年3月・非常事態庁・DSNS公表映像より)
【ハルキウ】庁舎は大きく損傷し使用不能となった。現在、窓にはすべて板がかぶせられている。建物中央の兵士が描かれた看板には「私たちは勝利の光を信じている」とある。 (2024年2月・ハルキウ:撮影・玉本英子)
【ミコライウ】南部ミコライウ州の庁舎は、2022年3月29日、ロシア軍の巡航ミサイル攻撃を受けた。画面左の赤枠部分がミサイル。映像は庁舎近くの集合住宅屋上に設置されたカメラから。(2022年3月・州知事公表映像より)
【ミコライウ】攻撃は午前8時45分で始業時を狙ったとみられる。キム知事は寝過ごしたため無事だったが職員ら37人が死亡。攻撃の可能性があるなか庁舎使用を続けていた知事には一部で批判も。現在、建物は使われていない(2023年5月:撮影・玉本英子)
【ハルキウ】ミサイルが炸裂すると爆風や破片で近隣の建物にも被害がおよぶ。行政機関が立ち並ぶ地区では、ガラス破損の被害を受けて窓をふさいだり、防護板を取り付けたりする建物を見かけることが多い。(2024年2月・ハルキウ:撮影・玉本英子)

★新着記事