◆農場経営陣は事件収拾に急ぐ

農業行政機関の幹部らの約束不履行はもちろん無責任なのだが、彼らのせいとばかりとは言えないようだ。協力者は社会構造に問題があるとして、次のように説明した。

「行政の幹部たちは、上からの各種の『宿題』(上部機関や高級幹部が要求する賄賂やノルマなど)にも対応しなければならないし、農場経営のための営農資材も購入しなければならない。でも予算の金がないので、とうとう配給に手を出してしまったのだ」

問題の発端となった幹部たちは、農民たちの目を気にしながら、事件の収拾に急いでいる様子だという。騒ぎを起こした農民たちを問題視したり、捕まえたりはしなかったという。また、里(村)の労働党組織でも問題が大きくなるのを恐れて、食糧配給を追加で支給すると農場員らに通知したという。

今回の事件は、金正恩政権の農村政策から生じた副作用といえる。国家が農民を収奪し、都市が農村を搾取する現在の構造では、同様の事態が繰り返されるかもしれない。

※アジアプレスは中国の携帯電話を北朝鮮に搬入し連絡を取り合っている。

 

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