兵庫県立美術館で始まった回顧展 「描く人、安彦良和」。開催にあわせ、安彦良和氏が会場を訪れ、これまでの人生を振り返った。(映像は報道関係者向けの内覧会にて・撮影:坂本卓) 動画11分

◆「遠回りしたことで長い足あとができました」

「機動戦士ガンダム」のキャラクターデザインを手がけ、アニメーター、漫画家として現在も活躍する安彦良和氏の軌跡をたどる大規模な回顧展「描(えが)く人、安彦良和」が、6月8日から兵庫県立美術館で始まった。(9月1日まで開催) 少年期、青年期の歩みから現在の創作まで、多彩な分野の作品を取り上げ、そこに共通するテーマに迫る試みとなっている。(玉本英子)

戦後75年『ガンダム』から見る戦争(前編)安彦良和氏が語る「小さき者の視点」(写真8枚)

これまでの人生を振り返り、「遠回りしたことで長い足あとができました」と話す安彦良和氏。(撮影:玉本英子)

開催にあわせ、安彦良和氏が会場を訪れ、これまでの人生を振り返った。

「アニメーターを20年やり、漫画家としては34年になります。『漫画家になりたい』という子どもの頃の夢がありました。高校の頃、教師になろうと思っていたが大学を除籍になり、あきらめざるをえなかった。その後、アニメーターになり、いまは漫画家になりました。遠回りをしたが、気がついたら、子どもの頃の夢をかなえてるじゃないか、と。遠回りしたことで長い足あとができました」

高校卒業間際に描き始めた『遥かなるタホ河の流れ』はスペイン内戦を舞台にノートに描いた漫画。「なぜ戦争をしなきゃいけないのかしら」こうしたセリフは安彦氏が生涯追い続けるテーマでもある。

「描く人、安彦良和」は、安彦氏の幼少期から現在までの創作活動の足跡をたどる約1400点の原画、資料を「6章」に分けて構成。

中学生時代の理科ノートのイラスト、高校卒業間際に描いたスペイン内戦がモチーフの漫画、アニメーターとして手がけた作品、『機動戦士ガンダム』の登場キャラクター、アムロやシャアのスケッチ、『宇宙戦艦ヤマト』の絵コンテを集成。漫画家として、歴史と近現代史をダイナミックに描いた『ナムジ』『虹色のトロツキー』から『乾と巽-ザバイカル戦記』など現在まで続く作品の原画の数々も展示。初公開の資料も含まれる。

『機動戦士ガンダム』(劇場版)イラスト原画 (1981年) 「描く人、安彦良和」 9月1日まで兵庫県立美術館にて開催。©創通・サンライズ

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