◆「苦難の行軍」とは次元が違う

――今の状況についてもう少し話していただけますか?
今、職場に通う人たちが皆、大変な状況です。(現金を得るために)できることが何もないじゃないですか? 日雇い労働をしようと探し回り、仕事を見つけられれば1、2食分をそれで稼いで……。

「苦難の行軍」(90年代の大飢饉)の時は、生活力のない人たちが死んだじゃないですか。でも今はみんな大変です。幹部たちは生活できますが、他の人たちはみんな似たりよったりです。働く人のいない家や一人暮らしの家、病人のいる家はすべてコチェビ(浮浪者)並みです。食べるものがなくて家の「ジェンギ」を全部売って何もありません。そういう家が本当に多いです。

※ジェンギ:テレビ、冷蔵庫、扇風機など生活に必要な家財道具を指す。

――最近、周囲で実際に飢え死にした人はいましたか? 当局は何の対策もしていないのですか?
昨日も町内で年寄りが一人死んだので家に行ってみたのですが、塩の一さじもなかったんですよ。党でも生活が苦しい世帯への対策を立てるように言っていますが、対策というのは、食糧を与えることでしょう? 数日前、生活が苦しい世帯にトウモロコシ麺1キロを供給したそうですが、それで何日間生きられますか?

(続く 2 >>)
※アジアプレスは中国の携帯電話を北朝鮮国内に搬入し連絡を取り合っている。

北朝鮮地図 製作アジアプレス

 

 

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