◆TICADにおける西サハラ参加問題の原因はどこに

「TICADのたびに西サハラ(の参加)が問題になる」とも言われるようになった。まるで西サハラの代表団がTICADで騒ぎを起こしているようにも聞こえるが、実像は逆だ。モロッコがSADRを排除しようと騒動を起こし、AUに認められたSADRの存在を日本が無視するがゆえ、本来なにも問題ないはずのSADR参加が問題となってしまっている。モロッコによるTICAD会場での暴力沙汰は今回が初めてではない。2017年にモザンビークで開催されたTICAD6閣僚会合では、モロッコ代表団が西サハラ代表団の入場を阻止する騒ぎを起こしている。

日本とモロッコのビジネスの結びつきは、モロッコが常にアフリカ地域における日本企業の進出先トップ5に数えられるほど強い。また、モロッコ産と装われた西サハラ産の天然資源を日本は輸入し続けている。モロッコは西サハラの占領地で、その政策に異を唱える者を即座に政治犯として捕らえており、監禁や拷問も厭わない国だ。モロッコとの関係を維持したいあまりに、西サハラ問題とサハラーウィの存在には目を瞑っておこうとの思惑が、官民双方に働いていないだろうか。TICADにおける西サハラ参加問題は、すべてのAU加盟国と公平に向き合うことなく、モロッコに傾注しながらも中立を装う日本の矛盾した外交姿勢にその原因の一端がある。

TICAD9の本会議は、2025年8月20日から日本で開催される予定だ。

「日本に西サハラ支持を求めているのではない。しかし、日本の外交姿勢はあまりに特殊なものだ」と筆者に語ったラミン・バーリAU担当大使(2024年筆者撮影)

 

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