◆問われる再発防止の取り組み

7月30日、市営繕課に再発防止策を尋ねたところ、「建物の修繕や大規模工事が出てきた際、市として石綿の発注前調査をして、石綿があることがわかれば、対策費用含めた対応を実務としてはいまもやっている。周知は口答指示ですけど、こういう形で進めている」と説明する。

また市は「石綿分析結果報告書の受け取りは課長決裁まで必要にして、係長、副課長、課長が確認・把握するようにした。工事発注でも石綿がどこにあるか図面に表記し、その決裁でも必ず課長まで使用箇所や除去方法を確認している」(営繕課)と改善状況を明かす。

しかし発注前調査は施工費用の算出に必須であり、課長決裁も自治体業務としては当たり前のことだ。係長・副課長・課長が確認するというのは厳格化された部分もあろうが、再発防止であれば、ミスを防ぐ仕組みとして維持されるかどうかが重要だ。現状は口頭での取り決めというが、内部的な業務手順を記載した手引きなり、内規なりでなければ、人事異動で忘れ去られるということが起きかねない。

そう指摘したところ、市は「内規化するべきというならできていない。課員は十数人おり、異動しても何人か残る」(同)としつつも、「来年から始まる年1回の研修では過去事例の反省や原因がどこにあったか、繰り返さないためにはどうするかを共通認識とするのは当然と考えている。その資料では少なくともそうした内容を整理したものを作っていかないといけないと思っています。手引きや内規は営繕課のなかで検討していきたい」(同)との見解を示した。

石綿ばく露の防止との観点からは、建物の通常使用時から石綿を把握・管理していくことが重要だが、そうした取り組みも含め、今後の対応に期待したい。

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