福岡県行橋市は8月14日、市内の仲津小学校で体育館の天井「吸音材」からアスベスト(石綿)を検出したと会見で発表した。もっとも危険性が高いとされ、厳重な管理が求められている「吹き付け石綿」とみられるが、約20年間管理もされず放置されてきたことになる。(井部正之)

仲津小学校の体育館のようす。危険性の高い吹き付け石綿とみられる天井材にボールの当たった跡などが残っていることがわかる(行橋市提供)

◆過去に目視調査も未実施か

市教育委員会によれば、体育館は1970年竣工の鉄筋平屋建て、延べ床面積611平方メートル。来年度以降に長寿命化改修を予定しており、そのための実施設計業務で体育館の外壁や天井など計9カ所を採取・分析した結果、明らかになった。

天井の「無機質繊維吸音材」から基準超のアモサイト(茶石綿)とクリソタイル(白石綿)を検出(目視定量で計5%超から50%含有)と市が報告を受けたのは7月18日のことだ。

天井にコンクリートのはりが縦横に3本ずつあり、その間に吸音材を施工。使用面積は281平方メートル。厚さについて、市教育委員会は「何センチもある」(学校管理課)と説明。もっとも危険性の高いとして厳重な管理などが求められている吹き付け石綿とみられ、市は「劣化状況からも飛散が想定される」(同)として体育館の使用を禁止した。

市から提供を受けた館内の写真では、吹き付け石綿にボールの跡などが確認できるなど、これまでの利用時に石綿が飛散した可能性がある。

市は8月9日、体育館内の石綿濃度調査を実施しており、23日に結果が明らかになるとしている。

しかし市の測定は誰もいない状態での静穏時測定で、児童らが利用している状況と大きく異なる。そのため測定結果で石綿の検出がなかったとしても、実際の利用時に安全だったとは判断できないはずだ。

市にそう指摘したが、「それを目安に考えたい」「測定機関に確認したい」(同)などとあいまいな回答だった。

それにしても、なぜいまになって危険性の高い石綿が見つかるのか。

市教委は「1970年当初の設計図面が見つけられておらず、はっきりしていないが」(同)と前置きして、こう明かす。

「古い体育館なので各部いろんな改修をしているが、この間天井はいじってない。アスベストの部分が木毛板という記載になっている。文部科学省の通達をふまえて2006年に学校施設の調査をしているのですが、そのときには分析していない。まだ調査の最中ですが、木毛板という記載で目視調査をしなかったのかもしれない」(同)

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