厚生労働省は8月29日、流通などが禁止されているアスベスト(石綿)を含む実験用金網がネット通販大手アマゾンで違法販売されていたと発表した。2020年度から同省が実施している買い取り試験によって判明した。(井部正之)

厚生労働省が基準超のアスベストを含有すると発表した実験用金網4製品の1つ(同省資料より)

◆石綿を高濃度含有か

石綿の使用が確認されたのはEsiFare株式会社、ZHANGXINWEN、善兮JP、HanaHaul(法人なのかなど不明)との出品者がアマゾンで販売していた実験用の金網。同省が依頼した分析機関が国際標準の定性分析法「JIS A 1481-1」で調べたところ、石綿の1つクリソタイル(白石綿)を基準(重量の0.1%)超含有していた。

いずれも「石綿金網」「セラミック金網」などと製品名に記載。同省化学物質対策課は含有率を公表していないが、「石綿が多かった」というからセラミックに少量の白石綿を混ぜたのではなく、ほぼ石綿だった可能性すらありそうだ。

同省によれば、これら4製品については出品停止済み。

実際に製品名から検索してみたが、すでに販売ページは削除され閲覧できなかった。

2006年9月以降、石綿を基準の0.1%超含有する製品の製造、輸入、譲渡、提供、使用は労働安全衛生法(安衛法)で禁止。違反した場合、3年以下の懲役または300万円以下の罰金だ。今回の事案では販売していた出品者が安衛法違反(第55条)を問われる可能性がある(アマゾンは取り引きの場を提供のため対象外とみられる)。ただし国外からの出品の場合、執行は困難とみられる。

同省は4製品について、アマゾンに販売数や流通経路を確認中という。

アマゾンジャパン広報は「該当の商品は、すでにサイト上から削除済みです」と回答。回収など具体的な対応方針については説明しなかったが、「該当商品を購入されたお客様には、ご連絡がなされている」とした。

アマゾンだけでなく、楽天市場、ヤフーショッピングなど複数の通販サイトで類似品の販売が見つかった。

たとえば楽天市場では「石綿金網」「セラミック金網」などと今回とよく似た製品名で、石綿の有無について明記がない類似品が販売されていることを8月30日午後に確認したが、その後削除された(同午後8時過ぎに削除確認)。上記の製品名ながら、石綿ではなくセラミックと主張する別の類似品もある(同午後8時過ぎ販売継続確認)。

アマゾンでも同様の類似品販売が30日午後まで確認できたが、筆者の指摘後、販売ページ2つが削除された(同午後6時過ぎに削除確認)。

アマゾンやヤフーショッピングでは「石綿金網」との記載はないが、石綿の有無について分析結果などが示されていない類似品も複数見つかった(いずれも同午後8時過ぎ販売継続確認)。

同省は類似品までは対応を要請していない。こうした製品の安全性はどうなっているのだろうか。

アマゾンジャパン広報は「Amazonはお客様の安全を最も重要と考え、お客様が安心してお買い物を楽しんでいただけるよう努めています。Amazonにて販売されるすべての商品は、関連法規やAmazonの規約を遵守している必要があり、違反が疑われる商品の販売は事前に阻止する対策を講じています。販売開始後にもモニタリングを行い、違反が確認された場合は商品の削除などを実施するとともに、必要に応じて販売事業者、メーカー、政府機関などと連携しながら対応を行っています」と回答した。

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