◆けい藻土製品だけ規制では不十分

ヤフーショッピングを運営するLINEヤフー広報は厚労省が石綿検出した製品について、「現時点で、該当する商品の出品を確認されておりません」「ほかの製品安全に対する取り組みと同様に取り締まりの対象として、発見次第削除対応を行っております」と答えた。

また再発防止については、「LINEヤフーでは、従来より消費者の保護を目的に行政機関等の関係機関と協力しながら、安全ではない製品に対して対応をしてまいりました。今後も特定商材に対するアスベストの検出情報の共有や発表などがあった際には、その内容を精査の上、適切に対処していきます」との返答だった。

楽天市場を運営する楽天グループや販売者にも問い合わせているが、8月30日午後10時現在、回答が得られていない。

すでに述べたように2006年9月以降、安衛法で基準超の石綿を含む製品の流通などは禁止されている以上、輸入などにあたって分析などで安全確認するのは当然のはずだ。ところがその程度のことすらできていなかったということだろう。

約4年前の2020年末以降、中国からの輸入品を中心にけい藻土バスマットなどから石綿を検出した事例が相次いだ問題をめぐって、同省は労働安全衛生法(安衛法)施行令や石綿障害予防規則(石綿則)を改正。基準超の石綿を含有するおそれのある「けい藻土を主たる材料とするバスマット、コップ受け、なべ敷き、盆その他これらに類する板状の製品」を輸入する場合に国が定める資格者による分析結果報告書を取得して確認することなどを2021年12月から義務づけた。

今回石綿が検出された実験用金網は、以前から何度も石綿含有品が出回って問題になっているにもかかわらず、またも同じことが繰り返された。

けい藻土製品と同様に法令上の規制強化に加えて、ネット通販サイト側の対応も必要ではないか。

厚労省は「今回の事案を確認したうえでそういった対応を必要に応じて考えていくことはあり得る」(化学物質対策課)と答えた。

さらにいえば、石綿を含む可能性のある製品はほかにも多数存在している。オーストラリアの税関は石綿を含む可能性のある製品として40品目以上を挙げ、分析結果報告書を確認するほか、抜き取り検査も実施している。日本でも輸入などを禁止している以上、分析結果の報告や抜き打ち検査くらいはあってもよいはずだ。あるいは延々と、いたちごっこを続けたいのだろうか。国、ネット通販サイトともに抜本的な対策が必要だろう。

 

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