銃を携行して鴨緑江沿いを巡回する兵士。2023年10月に中国から撮影アジアプレス

朝中国境の鴨緑江上流域で、北朝鮮が川沿いに埋設したとされる地雷が、7月末に発生した集中豪雨で流出したのではないかとの憂慮が高まっている。中国当局は住民に川に近付かないように警告する一方、地雷流失の有無を北朝鮮側に問い合わせていると、中国人の取材協力者が8月7日、伝えてきた。(チョン·ソンジュン/カン·ジウォン)

◆中国当局「不審物を発見したら直ちに通報を」

吉林省の長白県は、北朝鮮の両江道(リャンガンド)恵山(ヘサン)市と鴨緑江を挟んで向かい合っている。長白県に住む協力者は、「中国当局が、近隣住民に、『川辺に近寄らず、不審な物を見つけたら直ちに通報するように』と通告した。北朝鮮側に対しては地雷の流失について問い合わせたそうだ」と伝えてきた。

またこの協力者は、国境警備を担当する辺境防衛隊の関係者から、「北朝鮮から地雷が流れ出た可能性があると聞いた」と述べた。

金正恩政権が、住民の脱北や密輸を防ぐために国境の河川一帯に地雷を埋設したという情報は以前から伝えられていたが、確かな裏付けはなかった。今回の洪水によって、地雷が流失した可能性を無視することができないため、中国当局が自国民の安全のために北朝鮮側に事実確認を要請したものと推測される。

◆警備哨所と有刺鉄線も破壊

協力者はまた、北朝鮮側の国境警備隊の詰め所と有刺鉄線が、豪雨で相当数破壊されたことを確認したと述べた。場所は長白県の二十一道溝、二十二道溝の対岸で、ちょうどアジアプレスが5日に、堤防が決壊して強制避難令が出されたと報じた普天(ポチョン)郡の佳山(カサン)里付近に当たる。

◆北朝鮮は救援物資を拒否か

また協力者は、北朝鮮側が救援物資の受け取りを断っているとも伝えてきた。

「北朝鮮と貿易をしてきた業界の団体が、支援物資を送ると北朝鮮側に伝えたが、断られた。コロナ以前には、中国の貿易業者が米や食用油を無償で送り、それを北朝鮮側もありがたく受け取っていた。しかし今回は、『中央から一切受け取るなという指示があった。受け取ると問題になるから困る』という反応だった」

※アジアプレスでは中国の携帯電話を北朝鮮に搬入して連絡を取り合っている。

 

北朝鮮地図 製作アジアプレス。普天郡は恵山市の北に位置する

 

 

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