◆露に派兵で腹いっぱい食べられるはず

――知人である兵士の両親は、息子のロシア派遣をどう受け止めていましたか? もしロシアで戦闘に参加することになれば、戦死する可能性もあると認識していますか?

「(息子が)戦闘に行くとは思っていなかった。後方での警戒勤務に配置されるくらいだろうと考えていた。それでも、親だから心配はしていたが」

――兵士である息子がロシアに派兵されることをまだ知らない親もいますか?

「知らない親の方が多いでしょうね。まだ(ロシア派兵を)知っている人が少ないし、知っていても下手に他人に話すと処罰されかねないので。ロシアに軍隊を送っているという情報が広まったら、親たちは皆、自分の息子が行くのかどうか調べようとするだろう」

――兵士の親以外で、ロシア派兵を知っている人の反応はどうですか?

「ロシアに派遣されれば、チーズや牛乳なんかをたくさん食べられるので腹を減らさずに済むだろう、その程度の認識だ。戦闘に参加するなんて思ってもいないだろう」

――韓国政府は、情報が拡散しないように、北朝鮮政府がロシアに送る兵士の親を隔離していると主張しています。兵士の親たちが不満を言ったりしていませんか?

「隔離とはどういうことだろうか? 私の近隣に住む息子がロシアに派遣される親たちは隔離なんてされていない。心配しているが、それも大っぴらには言えない。もし死亡通知が来たらどうなるかわからないが、今ところ不安や不満の声は聞かない」

金正恩氏は昨年9月にロシア極東地域を訪問してプーチン大統領と会談し、5泊6日の滞在中に軍事施設や宇宙基地を視察した。今年6月にはプーチンが訪朝し「包括的戦略パートナーシップ条約」に署名した。これらは北朝鮮でも官営メディアで大きく報じられている。また、食糧配給にロシア産の小麦や小麦粉が出たり、観光客やビジネスマンの訪朝が増えたりしているため、暮らしが厳しい北朝鮮住民の間では、ロシアとの関係深化で経済が上向くことを期待する声が高まっている。(続く)

※アジアプレスでは中国の携帯電話を北朝鮮に搬入して連絡を取り合っている。

 

 

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