◆残された家族は連座して追放
中国に逃亡した人については、北朝鮮当局は、証拠がないがきり行方不明者として扱わざるを得なかった。残された家族の中には、韓国や中国から地下送金を受ける場合が少なくないが、家族は監視対象となることはあっても、連座して処罰を受けるようなことはほとんどなかった。
ところがバンデミック以降は、逃亡を疑われただけで処罰を受けるようになったという。B氏は次のように言う。
「今では、行方が分からなくなって、中国に逃亡したのではと疑われただけで、容赦なく家族を追放するようになった。両江道では、雲興(ウンフン)、三水(サムス)、白岩(ペクアム)の方に送っているそうだ。中国に逃げるのは、もう家族が犠牲になることを覚悟しなければできなくなった」
※追放は、拘留ではなく山間僻地の農村に強制移住させる形で行われる。
◆「子供が逃げても申告せよ」と住民に通告
仮に家族が中国への逃亡を知らなかったとしても通用しないという。B氏によれば、人民班会議に、安全員(警察官)が度々来て、中国への逃亡を申告しなかったり隠したりした場合も処罰を受けると警告し、自分の子供であっても、少しでも逃亡の疑いがあれば申告せよ通知したという。
また、中国は監視カメラと顔認識技術が発達したので、身分証がなければ移動もままならず、すぐ捕まると、当局が頻繁に宣伝しているという。
「中国側に助けてくれる人がいなければ、越境するなんて考えられなくなった」とB氏は嘆いた。
※アジアプレスでは、中国の携帯電話を北朝鮮に搬入して連絡を取り合っている。
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