◆シリア人写真記者が伝えるイドリブの日常

8月末、パリでパラリンピックが始まる中、シリア北西部のイドリブでは地元人道団体主催で、障がい者を中心としたスポーツ大会の開会式が行われた。ところが、イドリブを実行統治する行政機関を主導するイスラム武装組織、シャム解放機構(HTS)系の宗教学者らが、「開会式がイスラム法に反し、聖火点火式は『異教の信仰』を象徴している」などとして、大会を非難。全競技が中止となった。シリア人写真記者、オマール・ハジ・カドゥールが開会式の模様を伝える。
写真はいずれもオマール・ハジ・カドゥール氏撮影・構成:玉本英子/アジアプレス)  2/2

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地元の人道支援組織の主催で開催された障がい者スポーツ大会。開会式では競技場で女性や子どもが行進。だが、開会式での聖火台点火を「異教信仰」と宗教学者が非難し、競技は中止に。(2024年8月26日・イドリブ・撮影:オマール・ハジ・カドゥール)
12歳から56歳まで333人の市民がイドリブ市営スタジアムに集まった。100メートル走などの陸上競技や、水泳など14の競技が行われる予定だった。(2024年8月26日・イドリブ・撮影:オマール・ハジ・カドゥール)
開会式に参加した12歳の少女。「この大会に参加できてうれしい」と話していた。(2024年8月26日・イドリブ・撮影:オマール・ハジ・カドゥール)
サッカー選手たち。大会は地元人道支援団体が企画。内戦や、昨年にシリア北西部を襲った地震で身体的障がいを負った市民をスポーツで応援するためだったが、中止の決定に参加者は落胆。(2024年8月26日・イドリブ・撮影:オマール・ハジ・カドゥール)
開会式では聖火ランナーは聖火台に点火。翌日、HTS系のイスラム学者らが、「開会式はイスラム法に反し、聖火点火式は異教信仰を象徴」などとして非難。大会は中止に追い込まれた。(2024年8月26日・イドリブ・撮影:オマール・ハジ・カドゥール)

開会式では聖火ランナーは聖火台に点火。翌日、HTS系のイスラム学者らが、「開会式はイスラム法に反し、聖火点火式は異教信仰を象徴」などとして非難。大会は中止に追い込まれた。(2024年8月26日・イドリブ・撮影:オマール・ハジ・カドゥール)

◆ オマール・ハジ・カドゥール(写真記者):2012年からイドリブを拠点に写真で内戦下のシリアを記録。海外通信社を通じて世界に発信する。母、きょうだいはトルコやドイツに難民となって逃れた。「内戦が終結し、自由と尊厳のもとに人びとが暮らせる日が来ることが願い」と語る。

 

 

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