◆15年前の「貨幣交換」の悪夢
2009年11月30日、当時の金正日政権は新旧通貨を切り替える「貨幣交換」を電撃的に断行した。ウォンを100分の1に切り下げるデノミネーションであったが、交換の上限額を1世帯あたり旧ウォンの現金10万ウォンまでとし、交換期限を1週間に限定した。寝耳に水だった多くの住民たちは、保有していた10万ウォン以上の旧ウォンが使用不能の紙くずになり、大混乱を招いた。
金正恩政権が本当に「貨幣交換」を実行するのか、現時点では不確かである。もし断行するとして、それが通貨切り下げを伴うものなのか、交換できる額や期間に制限が設定されるのかも不明だ。それでも混乱が発生しているのは、住民たちの間に政府と自国通貨に対する根深い不信があるからに他ならない。
「政府は、ずっと人民を統制することばかりしてきたので、住民の暮らしのことなんかお構いなしに、『貨幣交換』を実施しても何の不思議もない」
協力者のB氏は、こう嘆いた。
※アジアプレスでは中国の携帯電話を北朝鮮に搬入して連絡を取り合っている。
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