ウクライナ軍傘下の情報保安センター(SPRAVDI)が10月18日に公開した映像には、ロシアに派遣された北朝鮮兵と見られる一団が補給品を受け取っているような場面が映っていた。

◆ロシアへの労働者派遣のために家を売って賄賂作る

現在、北朝鮮の都市住民の困窮の原因は、食糧難ではなく現金収入の激減にある。個人による商行為や運送、個人間の雇用などの経済活動が、2020年のバンデミック以降、政府によって厳しく制限されためだ。

国営企業は昨年末に月額労賃を一斉に10倍以上引き上げたが、それでも日本円換算で600~800円程度に過ぎず、白米5~7キロ程度しか買えない金額だ。貯えが尽きた老人世帯、母子世帯などの脆弱層には飢えと病気で死亡する人まで出ている。

住民が窮乏する中で、ロシアへの派遣労働者の募集が拡大している。韓国政府は、今年に入り北朝鮮から6000人の労働者が派遣され、その月収は800米ドル程度だと推測している。

「今は、一日に1ドル稼ぐのも簡単ではないのだ。中国の経済制裁が厳しいため、水産物や鉱物の輸出もできない。賄賂のために家を売って他人と同居暮らしをしながら金を作ってでも、ロシアに伐採工や建設労働者として行こうとしている。過去に派遣された経験のある人やロシア語ができる人が優先的に選ばれている」(咸鏡北道の取材協力者のA氏)

両江道(リャンガンド)に住む取材協力者C氏も同様に次のように伝えてきた。

「中国やロシアに働きに行けるなら、朝鮮の人間は皆行こうとするだろう。国がどれだけ中間でピンハネしても、ここで働くよりずっといい。親戚中から金を集めて賄賂を払って行こうとする人もいる。選ばれるためには忠誠心が強いという評価が必要なので、模範的に出勤して(金日成、金正日の)銅像や記念碑などの掃除をする人もいる」

◆ロシア派兵は最後の選択では?

韓国政府は、ロシアが北朝鮮政府に兵士1人の派遣に1カ月に2000米ドルを支払うと推測している。この情報を伝えると、取材協力者たちは次のように述べた。

「いったい兵士は金をもらえるのか、もらえるならいくらなのか、兵士を送って国にどれくらい利益があるのかなど、まったく情報がない。もし2000ドルを直接兵士が受け取れるなら、私でも行くと思う。今、お金を稼げる方法は、外国に出ることしかない。ロシアに行ってこき使われてたとしても食べていかなければならないから。派兵は最後の選択のようなものだ」(A氏)

「米国がウクライナを支援するなら、我々は同盟国のロシアを支援しなければならない、政府はそんな雰囲気を作ろうとしていると思う。ロシアと手を組むこと以外、他に(国の運営を)うまくできる道がないのだろう」(C氏)

※アジアプレスでは中国の携帯電話を北朝鮮に搬入して連絡を取り合っている。

 

 

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