◆高級クッキーを有権者に配った公選法違反疑惑
その直後の3月、「しんぶん赤旗日曜版」が、村上開新堂で購入したクッキー缶を和歌山県内の会社役員に世耕衆院議員がプレゼントし、それが選挙区内(当時は参議院議員だったため、和歌山県内全てが選挙区だった。)の有権者への無償許与にあたるのではないかと、公職選挙法違反疑惑を報道した。
その取材に対し世耕事務所は、「あくまでも世耕議員が個人として用意したものであり、紀成会とは何の関係もない」と回答していた。それによって、紀成会の23年の収支報告書の贈答品代については「不明」とせざるを得ない状況に追い込まれたのだ…、上脇教授の告発状では、そのように指摘してている。
つまり、少なくとも2月末には領収書があったのに、世耕議員の「紀成会」は、5月の政治資金収支報告書の提出の際には、紛失してしまったことにしているのだ。また、規正法では会計帳簿への記載や領収書の保存を義務付けているにもかかわらず、それらを提出しなかった。そのため収支報告書に記載せず、領収書を提出しなかった。これら一連の行為を会計責任者や事務担当者などの事務方だけでできるはずがなく、世耕衆院議員の指示がないとできないと断定している。
◆公選法違反報道された後に領収証=証拠がなくる?
刑事告発した上脇教授は次のように指摘した。
「紀成会の22年分までの収支報告書は今年2月29日に裏金の収支の訂正をし、23年分の贈答品の領収書は全て残っていると説明しておきながら、5月に収支報告書を提出したときには領収書を紛失したというのは、明らかに不自然です。『しんぶん赤旗日曜版』が世耕議員の公選法違反の寄附疑惑を報道したので、領収書という証拠を廃棄したのでしょう。その結果、規正法違反を犯したのですから、悪質です」
世耕衆院議員は、安倍派の五人衆の一人であり、裏金事件を受けて自民党から離党勧告を受けて離党した。それにもかかわらず、その後も政治資金パーティーを開催したことが報道されている。
22年の収支報告書を訂正した際には、宣誓書の欄に「不明分については判明した場合に収支報告書の訂正を行います」という追記を行っている。しかし、未だにその訂正は行われていない。