◆当局の搾取ひどいと取り止める人も

一方で、一度決まったロシア行きを取りやめる人が最近増えている模様だ。待遇への不満が理由だ。コロナ以前はロシアで5~10年の長期の出稼ぎが可能だったが、今回は1年か2年と期限が短いという。「3~6カ月の短期派遣の募集もしている。職場の推薦が出たのに行くのをやめた人もいる」と、茂山郡の協力者は言う。

中国やロシアから帰国した労働者の口から、劣悪な労働条件と当局の搾取がひどいとの情報が漏れ出て拡散している。

「近隣に、腰を痛めて中国から戻ってきた女性がいるが、『まるで機械か家畜のように働かされた。1年で5万元(約107万円)は稼げると言われていたのに、ちゃんとお金もらえなかった』と不満を言って、安全局(警察)に呼び出され、青年同盟で自己批判書を書かされる騒ぎになった。もう、派遣で外国に出てもしんどいことは皆知っている」(両江道の協力者)

※青年同盟=社会主義愛国青年同盟 高級中学の生徒、大学生から概ね30歳までの勤労青年までを組織する労働党傘下の大衆組織。

2024年1月には、吉林省の工場に派遣されていた北朝鮮労働者が、賃金が支払われないことに怒って職場を占拠し管理責任者を暴行して死なせる事件があったと日韓のメディアで報じられた。

なお、ロシアに派遣された労働者が、どの地域でどのような仕事に就いているのか、北朝鮮国内の協力者たちは確認できなかった。

※アジアプレスでは中国の携帯電話を北朝鮮に搬入して連絡を取り合っている。

北朝鮮地図 製作アジアプレス

 

 

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