(参考写真)白シャツに黒スカートが典型的な大学生の服装だ。ハイヒールを履いている。2013年9月に平安南道平城市で撮影アジアプレス

北朝鮮で、困窮した女学生らが「売春行為」をしたことが発覚し、退学になり農村に追放されたという。北部地域に住む協力者が、大学関係者から直接聞いた内容を伝えてきた。金正恩政権は、「非社会主義行為」への取締りを強化しているが、とりわけ学生ら若者に対する処罰が厳しくなっている。(洪麻里/カン・ジウォン

◆コロナ以降の経済苦境で売春が増大

北朝鮮北部に住む協力者は、以下のように伝える。

「清津鉱業金属大学に通う女子大学生4人が、組織的に淫売行為をしているのが発覚し、退学になって、農村へ強制配置された。生活が苦しかったというのが理由だそうだ」

コロナ・パンデミック以降、金正恩政権が個人の経済活動を強く規制したことで、都市住民の現金収入は激減。暮らしに窮した女性たちによる売春行為が増加し、未成年の女子学生まで日常的に体を売ったり、「援助交際」に走ったりする状況が発生し、社会問題になっている。

今回の事案も、こうした経済困難に端を発しているとみることができる。北朝鮮に住む取材協力者たちによれば、生活が苦しい家庭の主婦や学生を、客の男性と引き合わせる「業者」が存在するとのことだ。

◆農村に追放されると一生台無し 都市復帰はほぼ不可能

清津鉱業金属大学は、咸鏡北道にある政府直轄の大学だ。学生たちは成績もよく、家庭の経済状況も比較的余裕がある方だと思われる。 摘発された4人が、退学のみならず農村へ強制配置されたというのは、人生が台無しになる非常に厳しい処罰だ。北朝鮮では、都市住民が農民身分に転身させられると、多くの場合一生涯、都市には戻れない。つまり、北朝鮮社会で「最底辺」とみなされる農場員として働き続けるしかないのだ。

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