◆負担増嫌う農場 動員者受け入れを忌避
さらに当局は、作業の内容と期間、必要な動員者数をあらかじめ示すよう農場に求めている。こうした変化に農場は戸惑っているようだ。
「負担が大きくなるので、農場ではできるだけ動員者を受け入れず、自分たちで農作業をやり切ろうとしています。草刈りなど重要な時期にだけ受け入れるつもりです」(B氏)
一方で、経営がうまくいっていない企業では、労働者をできるだけ多く農村動員に出そうとしているという。動員期間の間は人件費負担が減るからだ。
◆未だ人民動員に頼る脆弱な農業
2022年頃から、金正恩政権は農業政策の改編を断行している。そのうちの一つが、農場に裁量権を与える代わりに経営を自立させて企業化を図ることだ。今年から始まった農村動員体制の変更は、このような政策変更が反映したものである可能性が高い。
ただ、B氏は、「(上記の待遇は)全ての動員者が対象ではなく、従来通りに国が計画する集団支援も維持されるだろう」と補足説明する。
これらの運用が、実際にどこまで実行に移されるのかは不明だ。北朝鮮政府は毎年のように「農業第一主義」のスローガンを掲げながら、必要な食糧確保もままならないでいる。部分的に変化の兆しが見えるものの、旧来の人民動員に頼らざるを得ないところに、北朝鮮農業の脆弱さが現れている。
※アジアプレスでは中国の携帯電話を北朝鮮に搬入して連絡を取り合っている。

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