
<北朝鮮特集>金正恩氏が挑む農政改編とは何か(1) 農場から「協同」が消えた 農業関連法規を大幅見直し
金正恩政権の農政改編政策により、農場の運営に多くの変化が現れている。前回は、生産面でどのような変化があるのかを探ってみた。今回は、生産物の分配における変化を探ってみる。国家計画優先の原則は維持しつつ、農場員の生産意欲を高めようとする北朝鮮当局の試みとその効果とは?(チョン・ソンジュン/カン・ジウォン)
◆分配、農場員の生命線
まず、北朝鮮における分配の概念について説明する。
2020年に制定され、2023年に改正された北朝鮮の「勤労報酬法」第2条7項では、分配について次のように定義している。
「決算分配とは、農産、畜産、果樹、漁業、製塩、養魚部門など、月ごとに生産及び財政活動を総括することが困難な部門では、一定の期間を設けて生産及び財政活動を総括し、収入を確定して分配する事業である」
つまり、決算により国家の分配分(取り分)が優先的に精算された後、農場員の分配分が決まる。
原則として、労働者が毎月、国から配給と賃金を支給されるのと異なり、農場員は年に1~2回程度の分配を通じて自分の労働に対する対価を受け取ってきた。分配は、農場員たちが自分たちの生活を営むための最も重要な収入源である。
アジアプレスの取材協力者によると、農場員1人当たりの分配量は、規定では1日食糧750グラム、1年間の分配は260キロだと証言した。これは、規定された労働の量と質をすべて満たした場合の量である。北朝鮮の農場では、「労力日」制度という独特のシステムを通じて、農場員の労働の量と質を評価している。
しかし、農業生産量の減少に伴い、国家計画さえも達成できない状況が続き、過去20~30年間、農場員の分配は決められた基準通りに行われていないのが現状である。