侵攻に立ち向かう猫を描くイホール氏。(2024年3月・オデーサ・撮影:玉本英子)

◆路上からの抵抗

ウクライナ南部、オデーサ。街角のあちこちで出くわすのが、建物や壁に描かれた猫キャラクターのグラフィティだ。神出鬼没の「オデーサ猫」のペイントは、おちゃめな姿で郷土愛に満ちたメッセージを発信し、市民の心を和ませ、兵士たちを勇気づける。グラフィティで侵攻に立ち向かう、路上からの抵抗とは。連続企画「ウクライナ・アートの現場」第2回。(取材・写真:玉本英子・アジアプレス)

「ボルシチは我々のもの」。ロシアがボルシチを自国の料理としたことに対し、ウクライナではボルシチはもともとウクライナ伝統の料理とする声が広がったことに呼応。(2024年3月・オデーサ・撮影:玉本英子)
侵攻直後、オデーサの中心部で描いた猫。「ウクライナに栄光あれ」とある。(2024年3月・オデーサ・撮影:玉本英子)

◆グラフィティで侵攻に立ち向かう

建物や壁にカラフルなスプレーペイントで描くグラフィティ。オデーサの街角で、独特の猫キャラクターのグラフィティを描き続けるのは、アート集団LBWSだ。主要メンバーのひとり、イホール・マトロスキン氏(31)は、建築工学を専攻し、測地学の教員だった。のちにアートを独学で学び、仲間とともに、LBWSを立ち上げた。

「ともに我らは勝利する」。オデーサ駅すぐ近くの壁で。(2024年3月・オデーサ・撮影:玉本英子)
イホール・マトロスキン氏は、建築工学を専攻、以前は壁画アーチストとして肖像画や動物画などを描いていた。(2024年3月・オデーサ・撮影:玉本英子)
オデーサでイホール氏と仲間のデニス氏が、侵攻前の2021年に手掛けた巨大な壁面アート。(LBWSのインスタグラムより)

2022年2月、ロシア軍がウクライナに軍事侵攻した時のことを、イホール氏は振り返る。
「大規模な侵攻や全土へのミサイル攻撃なんて、まさかと思った。最初の数日間は恐怖した。そして次に、とにかく何が自分にできるのか、思いを巡らせた」

兵士たちが市内に作ったバリケードと検問所をまわり、自家用車用に保管してあったガソリンのタンクを燃料用にと届けた。

「いのちと繁栄」。オデーサ市内の産婦人科病院の壁で。母猫が赤ちゃん猫を抱いている。(2024年3月・オデーサ・撮影:玉本英子)
イホール氏らは、猫キャラクターをステッカーや塗り絵ブックにして、病院に入院している子どもたちに届けている。(2024年3月・オデーサ・撮影:玉本英子)

★新着記事