
◆第22独立機械化旅団・衛生中隊(ドネツク州コスタンチニウカ)
ロシア軍との激しい攻防を続けるウクライナ軍。武器不足のなか、過酷な戦いを強いられている。戦闘現場に立つ兵士たちの肖像を、シリーズで伝える。第1回は、東部ドネツク州の前線で負傷兵の救護に奔走する女性衛生兵。取材は2024年4月末。(取材・写真:玉本英子)


◆「故郷のために何ができるか」を問い兵士に志願
東部ドネツク州コスタンチニウカ(コンスタンチノフカ)は、ロシア軍との戦闘地帯につながるウクライナ軍の要衝だ。北東にチャシウ・ヤル、南にはアウディイウカがある。町から前線に向かう軍用車両がひっきりなしに走る。
第22独立機械化旅団の衛生兵、カリーナさん(46)が、招き入れてくれたのは住宅街の一軒家。医療班の救護所として使っている。町から避難した住民が、家を軍に提供したものだ。前線で負傷した兵士をここに運んで応急処置を施し、後方の病院へと搬送する。

カリーナさんは、ロシア軍の侵攻後、夫とともに軍に志願した。骨折や脱臼のリハビリを手助けする療法士として働いていた経験から、軍部隊の医療班に加わった。戦闘負傷者救護の訓練を受け、衛生兵となった。
「故郷を守るために何ができるか、自分に問い、兵士を選択しました。想像以上に過酷でしたが、タフな精神力は極真空手で鍛えました」
そう言って、彼女は分厚い拳(こぶし)を見せてくれた。


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